賃貸物件を退去するときに心配なことと言えば、「敷金が無事に戻ってくるのかな?」「追加で費用がかかるのかな?」という退去費用についてではないでしょうか。
賃貸契約のルールを理解していないと、きれいに使っていたはずなのに敷金が戻ってこなかったり、身に覚えのない床の傷や凹みの修繕費用を請求されるままに払ってしまうということもあるかもしれません。
そこで、賃貸借契約のルールで知っておきたい4つのキーワードを中心にお伝えしていきます。
退去費用を決める4つのキーワード
「原状回復」「経年劣化」「通常損耗」「減価償却」この4つの言葉がキーワードになります。
原状回復(げんじょうかいふく)とは
賃貸物件の契約書に必ず記載されている「原状回復」、聞きなれない言葉で難しく感じますよね。
原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すものではないということを明確にし、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」
そこで、借主と貸主のトラブルを防ぐために、国土交通省がガイドラインを設けました。
ガイドラインに記されているように、故意の過失ではない場合は、借り手が元の状態に戻さなくていいと明記されています。
どこまでが借主の責任になるのか、どこまでが貸主が負担する部分なのか、という線引きをしっかり理解する必要があります。
そのうえで必要になってくる知識があります。
経年劣化(けいねんれっか)と通常損耗(つうじょうそんもう)とは
国土交通省住宅局のガイドラインには、通常の使用を超えるような使用と書いてありますが、「通常の使用とはどのようなことだろう」と思いますよね。
通常の使用とは、「経年劣化」と「通常損耗」の2つの用語で表されます。
「経年劣化」とは、年月が経つにつれ品質が劣化することです。
例えば、自然光で壁紙が焼けて色あせる、窓や玄関扉のサッシのゴムが風や雨の影響で傷んだといったものです。
「通常損耗」とは、生活していくうえで仕方なくついた傷です。
例えば、棚やベッドを置いたときにできる床の傷や凹みといったものです。
つまり、生活の中で、正しい使い方や過ごし方をしているのであれば、消耗してしまったり、汚れたりしてしまった物や箇所に関しては修繕費用の負担はしなくていい、という考え方です。
この「経年劣化」と「通常損耗」に該当する修繕や補修の費用は、どちらも大家さんの負担となり、借主に費用の請求はされません。
減価償却(げんかしょうきゃく)とは
請求金額を決めるうえで大事なポイントが、減価償却です。
減価償却とは、使用年月の経過とともに、その価値も下がるという考え方です。
ガイドラインでは、壁紙のクロスは3年で半分の価値に下がり、6年で1円の価値に下がるとなっています。
例えば、新築の1ルーム(20㎡)に3年住んで引っ越しをするときに、壁紙を全部張り替えなければならなかったとします。
1㎡の単価1,500円×20㎡=30,000円となりますが、3年経過しているため、価値は半分になり、30,000円の半分の15,000円を負担することになります。
しかし、費用は材料費だけではありません。
壁紙クロスを例に挙げると、
6年目以降に張り替えをする場合は、価値が1円となり、クロス代は必要ありありませんが、クロスを張り替えるための費用(人件費など)は必要になってきます。
費用がゼロになるわけではありません。
その他の設備機器と備え付け家具が1円の価値になる年数
5年 流し台
6年 壁紙クロス エアコン ガス機器(ガスレンジ) 冷蔵庫 インターフォン
8年 金属製以外の家具(タンス、戸棚、書棚)
15年 便器、洗面台等の給排水 衛生設備
こんな場合は大家さんが負担?それともあなたが負担?
費用を負担するのは借主なのか、貸主なのかを実例を挙げながら紹介していきます。
大家さんが負担すること
「経年劣化」と「通常損耗」に当てはまるもの、と言ってもピンとこないですよね。
生活していくうえで必要なことに関係した傷、汚れ、消耗は大家さんの負担と言えば分かりやすいかと思います。
・浴室内やトイレの壁の黄ばみ
・壁にカレンダーを掛けた時の画鋲の穴(ねじ穴などは負担してくれないことがあります。)
・冷蔵庫裏の壁紙の黒ずみ
などが大家さんが負担する項目です。
あなたが負担すること
経年劣化と通常損耗として認められないケースは、費用が発生する可能性があります。
これは借主の不注意で起きた傷や、掃除をしていなくてついたひどい汚れなどです。
賃貸契約書には「借主の故意過失」という言葉で表現されます。
・部屋の中で喫煙して壁紙が黄ばんだ。
・ガスコンロや換気扇の掃除をしていないためにできた油汚れ。
・重たいものを落としてしまい、フローリングを傷つけた。
・ぺットがつけた壁の引っ搔き傷やにおい。
この他にもさまざまケースがあります。
これらは、壁紙の張り替えや、フローリングの補修、追加の清掃などの費用を請求されることがあります。
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あきらかに相場より高額な請求が来たら
こちらを参考にある程度の退去費用を自分で計算することができます。
【壁紙の張り替え】 1㎡あたり1,200円から1,500円
【キッチンの油取り】 7,000円から10,000円
【浴室内のカビ取り】 10,000円から15,000円
【フローリングの張り替え】 1㎡あたり3,000円から(材質によって金額がさらに上がることもあります。)
多少の誤差はあると思いますが、実際の請求金額が自分の計算と大幅に違う場合は、次の事をしっかりと確認しましょう。
張り替えの費用の詳細な内訳を説明してもらう
・作業単価がいくらなのか
・床や壁紙クロスなら一部を張り替えるのか、部屋全体なのかを確認する
・人件費はどのくらいかかっているのか
その他の項目
・浴室内のカビ取り作業が必要なのか
・キッチン周りの油取りが必要なのか
・部屋の消臭作業を行うかどうか
原状回復するために、しなければならない修繕が多いほど、費用が高くなります。
目安の相場に比べて、作業単価が高く感じるなど、心配がある場合は、国民生活センターに連絡して専門の相談員のアドバイスを受けてみましょう。
次の引っ越しに備えてできること
入居する前に、次の引っ越しに備えて出来ることをいくつか紹介したいと思います。
入居すぐに確認することで、トラブルを防ぎ、退去時にも不要な費用がかからないので試す価値はありますよ。
・浴室内のカビ、排水口のにおいを確認する。
・壁紙クロス、浴室内の壁、床は汚れや傷がないか確認する。
・ガスコンロや換気扇などの油汚れ、シンクの水垢がついているか。
・流し台下の戸棚の中が汚れていないか、排水ホースは破損していないか。
また、チェックしていて気になる点があれば、すぐに管理会社に連絡して確認してもらいましょう。
賃貸トラブルを避けるために、入居するときに写真を撮り、記録しておくアプリがあります。
まとめ
退去時は、敷金返還や費用の請求でトラブルになるケースが多く、何も知らないと損をしてしまうこともあります。
引っ越しの準備作業として、トラブルを未然に防いでおくと、退去時に安心できますよね。
もう一度確認してみると、
「原状回復」をするときは、
「経年劣化」と「通常損耗」で修繕が必要な場合は大家さんが費用の負担します。
自分の「借主の故意過失」であれば、「減価償却」を差し引いた費用の負担が必要です。
このキーワードを知っておけば、退去するときも安心ですね。
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