初めて不動産会社を訪れる人は、数多くの物件情報に目移りするのではないでしょうか。
ただ「ここも良い、あそこの部屋も捨てがたい…」と迷ってばかりいると、良いと思ってた部屋が埋まってしまうということも。
そこで、今回はできるだけ迷わずに自分の理想の近い部屋を探すための内見のポイントをお伝えします。
どんな生活がしたい?頭の中でイメージしてみよう
まずは今後住みたいエリアを決めて、自分の頭の中で新生活について考えてみましょう。
条件を書くためのメモを準備すると良いですよ。
家賃や間取り、室内の設備、周辺施設などいろいろな希望条件が出てくると思います。
具体的な例で言うと「バス・トイレ別」「オートロック」「スーパー・コンビニが近い」と言った感じですね。
お子さんがいらっしゃる世帯ですと、学校や保育園の場所も気になるところ。
また家賃に関しては、後の項でお話する入居審査の件に影響します。
条件が良いからと行って、支払いが厳しくなるような物件を無理に選ばないようにしましょう。
イメージできたら、不動産情報サイトや不動産会社へ
あらかじめ不動産情報サイトで候補を絞っておけば、不動産会社に来店した時に担当者さんへイメージを伝えやすいですね。
【主な不動産情報サイト3選】ミニミニ/ホームメイト/エイブル
最近では、お部屋の中を360度見渡せるVR機能が実装されているサイトもあります。
写真だけではわからない部分も、これなら隅々までチェックすることができますね。
ただ、全てのお部屋に適用されているわけではないので、その点は注意が必要です。
一方、サイト閲覧ではなく不動産会社に直接来店するメリットですが、
こちらは、ネット上に載っていない物件情報を教えてもらえる可能性が高いです。
退去予定の人が住んでいる物件が条件を満たしていれば、一足先に紹介してもらえることもありますよ。
いざ内見!【準備編】
不動産情報サイトの写真やVRは、あくまで画面上の確認になります。
内見は、部屋の広さや写真で見えなかった部分を直接確認できる貴重な時間です。
数件回る予定の人は、効率よくチェックしていきましょう。
特に繁忙期の頃は、不動産会社の人もあちこち出回る時期です。
物件の内見を希望している人は、スケジュールを調整して早めに予約を。
遅くとも、内見希望日の3日前にはご連絡しましょうね。
滞在する時間・訪問する時間帯
物件の中をくまなくチェックするには、最低15分前後かかります。
窓の大きさを測ったり、周辺状況をチェックしたり。メモや写真を撮りたい人はそれ以上に時間がかかるでしょう。
複数の物件を回る予定の人は、一つの場所にあまり時間をかけるわけにはいきません。
じっくり見るとしても、30分〜1時間以内を目処にしましょう。
また、内見時に部屋の日当たりを調べたい人は、午前中からお昼過ぎが狙い目です。
日照時間の短い冬のシーズンは、内見時間に気をつけましょう。
そして、不動産会社側の都合がつけば夜間の内見も可能です。
夜間は日中に比べると、多数の入居者が家で過ごす時間帯。治安を含めた生活音や騒音をチェックしやすくなります。
服装と持ち物
内見中はとにかく移動が多いです。
加えて、階段やロフトのある部屋を見る場合は昇り降りをしますし、キッチン収納を見るときは体をかがめますよね。
なので、当日は必ず動きやすい服装にしましょう。できればパンツスタイルがおすすめです。
そして持ち物に関してですが、あまり色々と持ち運ぶと移動時に不便です。
できるだけコンパクトな鞄にまとめて、大荷物にならない方が良いですね。
【内見時に持っていると便利なもの】
●スマートフォン
最早必需品ですね。メモを取ったり、物件内や周辺の写真を記録。
写真を撮る場合は、念のため担当者さんに許可をとりましょう。
●メモ用紙
スマートフォンの他に、手書きのメモとボールペンを1セット持っておくと安心です。
●メジャー
部屋の大きさや、窓の高さを測る際に使います。
特にカーテンのサイズを知りたい人は、必ず持っていきましょう。
●方位磁針
スマートフォンのアプリでも良いでしょう。日が差し込む向きを調べます。風水が気になる人も使ったりしますね。
※飲み物を持ち運ぶ人は、蓋をしっかり閉めるなど取り扱いに注意してください。
こぼして汚れるのを防ぐため、物件内ではなるべく飲まないようにしましょう。
間取り図やスリッパを持参する人もいらっしゃいますが、これらのアイテムは大抵不動産会社の人が貸してくださると思います。
まだ入居者がいる部屋の内見は不可能?
基本的に、退去予定の部屋にまだ入居者がいる場合は、見ることができません。
もし建物内に同じ条件の空室があれば、そちらを見せてもらえることがあります。
建設中の新居も同じように、完成してる部分であれば見学可能の場合もあります。
雰囲気を知りたいと言う人は、一度担当者さんに相談してみて下さいね。
いざ内見!【物件チェック編】
それでは、実際に物件を訪問した時にチェックする項目を見ていきましょう。
物件内でチェックするポイント
●玄関
部屋には置けない汚れやすいものだったり、子持ち世帯だとベビーカーを置いたりしますよね。
- 物を置いて玄関を塞いでしまわないか?
- シューズボックスの収納は十分か。
- 大型の家具を玄関から搬入することは可能か?
●インターホン
防犯面を重視している人は、オートロックやモニター付きの物件をおすすめします。
不在時にも記録が残るので便利です。
●鍵
こちらも、防犯面を重視している人はピッキングしにくい物件が良いでしょう。
主に、ディンプルシリンダー錠やカードキー、タッチパネル式になります。
鍵を付け替えたい場合は、可能かどうか担当者さんに聞いてみましょう。
●各部屋(リビング・ダイニング・その他の部屋)
間取り図だけでは動線のチェックをしづらいです。実際に生活した時、不便を感じない動線を確保できるか見極めましょう。
そして、引っ越し当日の家具配置を円滑に行うためにも、部屋の広さを知っておくことが大事です。
あと、コンセントの位置と数のメモも忘れずに。
テレビは専用の端子が必要なので、置く場所が限られます!
- 部屋の広さ(幅、奥行き、天井までの高さ)を計測。
- 【カーテンサイズ】窓の高さ(カーテンレールから地面までの高さ)を計測。
- 収納(クローゼットや押し入れ)の広さを計測。十分な量を片付けられるか?
- 照明は備え付けか、自分で設置か?
●空調設備
エアコンが備え付けの場合、古い型だと光熱費がかさんでしまいます。メーカーや型番を聞いておきましょう。
持ち込んで設置をする場合は、取り付け場所のチェックを。柱や壁の作りによっては、工事で穴を開けられないことがあります。
また、エアコンと室外機は必ずセットになります。室外機の置き場がない場合は、エアコンの設置ができません。
●キッチン
冷蔵庫や食器棚、大型のゴミ箱を置く場所にもなると思います。調理のしやすい環境が作れるか、シミュレーションをしましょう。
ガスコンロが備え付けではなく持ち込みになる場合は、コンロを置く場所の壁の位置に気をつけて。
右側か左側かで、購入するコンロのタイプが変わります。間違えると火災に繋がってしまう恐れがあります!
- 調理台のスペースは適切か?
- シンクとコンロの位置を確認(コンロの壁は左側か右側か)
- コンロの口数は?
- コンロの種類は?(ガスorIH)
- ガスの場合、種類は何か?(都市ガスorプロパン)
- シンク下やコンロ下の収納は十分か?
- 天井までの高さと冷蔵庫の高さに不都合はないか?扉を開きやすいか?
- 食器棚や家電、ゴミ箱を置くスペースはあるか?
●トイレ
便座の形をチェック。使える便座カバーがそれぞれ異なります。
- 普通U型
- 普通O型
- 洗浄温水タイプの特殊型
ついでに、タンクの中も見ておくと良いですね。
タンクの汚れは、カビや汚れが嫌な臭いの原因になります。下水の臭いが漂っていないかも確認しましょう。
●浴室・脱衣所・洗面所
浴槽の広さ、掃除がしやすいか。浴室乾燥機能が欲しい人は、そちらもあわせて見てください。
カビ対策に塩素系の洗剤を使う場合は、換気機能もしっかりチェック。
そして、トイレと同様に排水溝の臭いも確認しておくと良いですね。
窓が付いていたら、部屋の外側からも防犯の確認を。
洗濯機を脱衣所に置く場合は、洗濯のしやすさを考えて。ドラム式は扉の関係で、かなり場所を取ります。
洗面所は、コンセントの数や扉下の収納・その他の収納スペースを見ておくと良いですね。
●ベランダ
低い階層に住む人は、外から簡単に侵入されないかチェックしましょう。
隣接する建物や電柱が近すぎないかも大事です。
ベランダの幅によっては洗濯物を干し辛いことがあります。外に干す人は、幅を測ってみると良いかもしれません。
特に女性の方向けですが、ベランダの干し物が見えやすい場合は気をつけてください。
ベランダについても、外側から見たらどんな雰囲気か確認できると良いですね。
●通信環境
物件によっては、最初から光回線が導入されている場合があります。
工事が必要かどうか、担当者さんに聞いておきましょう。
また、Wi-Fiルーターを設置する時は、各部屋によって通信環境が変わるので注意しましょう。
●共用部分や近隣の様子
駐輪場やゴミ置き場などの共用部分が荒れていると、治安にも影響することがあります。
管理会社や管理人さんがこまめに掃除をしているかチェックしましょう。
また、入居予定の部屋の両隣、上下の部屋の状況もだいたい把握したいところ。
もし小さなお子さんがいる場合は、足音や泣き声が聞こえてくることもありますからね。
車を所持している人は、駐車場の広さも覚えておきましょう。
駐車代金に関しては、家賃に含まれているのか別払いかも、あらかじめ聞いておくと良いですね。
周辺環境でチェックするポイント
●治安
今の時代、1番重要視する人もいるのではないでしょうか。
昼間は明るくて見通しの良い道も、夜になれば真っ暗になったりします。
- 街灯の数は?
- 人通り、交通量はどのくらいか?
- 騒音はどの程度か?
それから、交番が近くにあるかもチェックしましょう。
物件の外に掲示板などがあれば、そちらもチェックしてみてください。
何か注意喚起があれば、その地域で起こりやすいトラブルも把握できると思います。
●交通の利便性
駅やバス停の場所、物件からの所要時間をチェックしましょう。
近くにあれば、実際に歩いて向かってみると距離を掴めます。
●周辺施設
以下の施設が希望物件の近くにあると便利です。
- 役所
- 警察署(交番)
- 郵便局
- スーパー・コンビニ・ドラッグストア
- 病院
- お子さんがいる場合は、通学予定の学校。
役所や郵便局は頻繁に訪れる場所ではありませんが、手続きや郵送するものがある時に近いと助かりますね。
入居審査が通れば契約成立
賃貸物件とは、もともと大家さんや管理会社の大事な資産。
よって責任能力のない人には、絶対に貸すことができません。
そこで、物件に住むのが本当に相応しいのか、契約前に入居希望者を審査することがあります。
この審査には、だいたい3日〜5日、長くて10日かかることも。
しかも、合格しなければ、いくら気に入った物件でも住むことができません。
入居審査のポイントは責任能力と誠実さ
●家賃の支払い能力
これは1番重要です。当たり前ですが、家賃を払わなければその物件に住むことができません。
家賃滞納が続いたり、踏み倒して逃げるなどあってはならないことです。
安定した支払い能力があるのか、職業もしくは勤務先の確認をされることがあります。
学生の場合は、アルバイトの有無やご両親の職業について聞かれることもあるでしょう。
審査が厳しい所だと、年収まで答える義務も発生します。
ちなみに目安としては、年収の36分の1以下の物件を選ぶのが適切です。
例:年収300万の場合→8万3,000円以下/年収400万の場合→11万以下
また、引っ越し費用や仲介手数料など、初期費用のことを考えると、あまり無理はできませんね。
【参考】引っ越しの初期費用を抑えたい!仲介手数料の仕組みを知ろう。
●連帯保証人
こちらは、身内の人(未成年は保護者など)に了承を得られれば、ほとんど問題はありません。
しかし、保証人に支払い能力が欠如していたり、60歳を越えた定年退職者である場合は、審査を通らないこともあるようです。
もしご両親が高齢者であれば、信頼できる兄弟や親戚、知人にお願いすると良いでしょう。
金銭が絡むことなので、相談は慎重に行ってください。
●入居希望者の印象
面接のような感覚ですが、不動産会社の担当者さんと対峙した時点で審査は始まっています。
態度が悪かったり、明らかに嘘をついているような様子が見受けられる場合は、審査を不合格にされてしまいます。
丁寧な言葉遣いや清潔感のある格好も、かなり重要なポイントになってきますね。
また、過去に賃貸を借りている人で家賃滞納やトラブルを起こしてしまった人は、きちんとお話をしましょう。
たとえ審査項目に影響があっても、調べられて発覚するようなことは隠してはいけません。
逆に誠実に伝えることで、希望の物件が通らなくても他所を紹介してもらえることがあります。
まとめ
「こんな場所に住みたいな」と言う漠然とした気持ちから始まる物件探し。
実際に探し始めると、細かい希望条件が出てきたり、実際に見学しないとわからない点もあります。
入居審査を通して契約に至るまでは長い道のりですが、ご自身が納得する物件が見つかると良いですね。
内見当日や入居審査で慌てることがないよう、入念に準備を進めましょう。