賃貸の契約をしてまだ1年も経っていないのに、引っ越さなければいけなくなった!
突然の転勤や家庭の事情で、やむを得ず賃貸の解約をしてしまうケースは少なくありません。
一般的に、ほとんどの賃貸は2年契約。
「満了を待たずに中途解約をすることで何か損をしてしまうの?」
「違約金が発生するのでは?」
引っ越し予定が現実味を帯びてくると、解約に関する疑問や不安が次々と浮かんできますよね。
万が一その状況になった時慌てないように、一年未満の賃貸解約に関してご説明致します。
契約書をすぐに出せる人は、お手元に用意して一緒に確認をしましょう。
全ての鍵は契約書にあり!
契約期間について
Q.最初に取り決めをした契約書通り、2年は絶対に住まないといけないの?
A.いいえ、そんなことはありません。
一部例外はありますが(次の項で説明します)、大抵の賃貸は普通借家契約(ふつうしゃっかけいやく)と言う制度が用いられており、中途解約も可能となっています。
普通借家契約とは | 概ね1年以上の契約期間を設けられており、契約更新制度が存在する。(後に説明する定期借家契約には更新制度がない) |
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普通借家契約の場合は、契約期間を1年未満に定めることはできません。
と言うのも、借地借家法29条にて、契約期間1年未満の物件は「期間の定めがない建物の賃貸借」と見なされます。
期間の定めがないと解約申請などの取り決めができなくなり、貸主側は不利になってしまいます。
そのため、契約期間を1年以上~2年と定めている物件が多いのです。
Q.「じゃあ1年未満で解約をする場合は、違約金が発生するのか?」
A.契約書面の内容によります。
知人Aさんの場合は、退去予告の申請期間を守れば特に問題もなく違約金の発生もなし。
しかしまた別の知人であるTさんは、賃料の1ヵ月分を支払う義務が発生したようです。
このように、契約内容次第で違約金の有無も変わってくるようですね。
※違約金の有無やその他の金銭のやり取りに関しては、後述します。
賃貸の解約予告について
平均的に、解約予告は退去予定日の1か月前にしなければいけないことが多いです。
申請日については契約書に記されていると思いますが、稀に書かれていないことも。
じゃあ一体いつ予告をしなければいけないのか?その場合は、民法の指示に従うことになります。
民法617条では、賃貸解約について以下のように指定されています。
第617条
1. 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
2. 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない引用元:wikibooks
つまり、契約書に退去申請の期間が書かれていない場合は、退去予定日の三か月前には申し出なければなりません。
ちなみに、多くの契約書に記されている「退去予定1か月前の申請」ですが、こちらも物件によっては異なる場合があるのです。
例を挙げると、居住1年未満で退去をする場合は、退去予定日の2か月前に申請をする。と言った感じです。
更に、中途解約が不可能の物件もあることをご存知ですか?
それは契約方法が定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)である場合です。
定期借家契約とは | 契約期間を自由に設定できる。通常の普通借家契約とは異なるため、1年未満の短期契約も可能。 しかし、契約満了をもって解約可能になる場合がほとんどなので、中途解約に関する決まりがない。よって、やむを得ず解約することになると、満了までの賃料全額支払いなど違約金が発生する。 |
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このように物件によって申請時期もばらばらのため、引っ越しの予定が浮上したらすぐに契約書を確認すると良いでしょう。
違約金や退去費用について
契約期間の項で一部説明をしましたが、1年未満の賃貸解約に関しては違約金が出たり出なかったりと、物件によって異なります。
大家さんの、違約金に対する考え方の違いもあるようです。
しかし、敷金礼金ゼロやフリーレントなど、初期費用が抑えられる物件は長く住むことを前提に貸し出しているため、
1年未満の解約は大家さんにとって不利益となります。
この場合は違約金が発生する確率も高いので、ご注意ください。
あと、稀なケースではありますがこんなこともあります。
退去予告を守らずに事を進めた場合は、当たり前ですが違約金を支払う必要があります。
これは礼節を欠く行為なので、絶対にやめましょう。
もし最初から1年未満の引っ越し予定があるとしたら、必ず最初に相談をしましょうね。
そして、違約金の他に発生する費用が賃貸の修繕費(原状回復費用)です。
こちらは、住んでいる期間がどんなに短かったとしても、お部屋の汚れ具合によっては支払う義務が生じます。
お部屋でたばこを吸っていたり、ペットを飼っていた人は臭いがついたりもするので、これは仕方ありませんね。
他にも、お子さんが壁紙に落書きをしてしまったなど、入居者側の過失となる場合も該当します。
初期に納めた敷金から支払ったり、また別の形で大家さんに支払ったりと、こちらも契約書の通りに従うこととなります。
契約書に書かれたこと以外にも退去費用を請求をされた場合は抗議することも可能ですが、基本的には同意欄にご自身の捺印がある時点で、
違約金や退去費用の支払い義務があることを心得ましょう。
賃貸解約以外に気を付けること
●住民票
一般的には、引っ越しに伴って変更するものです。
しかし、以下のような状況にあたる人は例外になります。
- 実家を離れて学校に通う学生。
- 仕事の都合で、家族と離れて単身赴任中。(1年未満の単身赴任も含む)
- 家を建て替えており、仮住まい(賃貸)をしている。
1年未満の短期間引っ越しであったり、後々元の住所に戻ることがわかっている場合は、住民票を移す必要はありません。
●インターネット回線・プロバイダー契約
実は、ネット回線やプロバイダーも2年契約のものがほとんどで、中途解約により違約金が発生してしまうのです。
仮に現在お使いの回線が新居でも対応しているとすれば、移転によって契約は継続となります。
しかし、移転費用やその他の設置費用が再び必要となるでしょう。
ちなみに、ネット回線だと1万円前後~2万円近く、プロバイダーは3,000円前後〜1万近くの違約金がかかると言われています。
ただでさえ引っ越しの時は支出が増えるというのに、違約金が上乗せされるとかなりの痛手になりますよね。
やむを得ず1年未満で引っ越しをしなければならない人はまだしも、早期に引っ越す必要がないならば、解約はしないに越したことはありません。
【参考1:ネット回線の解約金について】フレッツ光/ビッグローブ光/NURO光
※フレッツ光は、西日本と東日本とで料金区分が変わります。
【参考2:プロバイダーの解約金について】プロバイダの解約時に必要な違約金一覧
まとめ
1年未満の引っ越しは、転勤などが頻繁にない限りそうそうあるものではありません。
しかし、明日は我が身という言葉があるように、急な予定変更は無きにしも非ず。
もしもの時に慌てないためにも、初期に契約した書類等は、必ず出しやすい場所に保管しておくようにしましょう。
そして、最も大事なことは、とにかく契約書を熟読すべし!です。
賃貸の契約事項や違約金などは、全て一律に決められているものではありません。
大家さんの意向が書いてある大事なものになりますので、それに反することがないようにしましょう。
もしも契約書についてわからないことがあれば、その都度質問することも大事です。
ご自身が後で損をしたり、大家さんや管理会社との間でトラブルを起こさないためにも、しっかりと確認をしましょうね。